FAQ構造化データ(FAQPage)は、ページ上の質問と回答を、検索エンジンやAIが読み取りやすい形で記述するJSON-LDのマークアップです。ただし2026年5月、Googleは検索結果のFAQリッチリザルト(Q&Aのアコーディオン表示)を完全に廃止しました。今から「検索で目立たせるため」にFAQPageを作る理由はもうありません。AIに引用されやすくする本質は、タグそのものではなく「ページ上に見える、抜き出しやすいQ&A本文」です。福岡でWeb制作を発注する立場でも、この違いを押さえておくと、実態に合わない有料オプションを避けられます。
この記事は、開発者ではない経営者・Web担当者に向けて、FAQPageの正しい構造・作り方・公開前チェックと、「AIに引用される」という言葉の限界までを、Googleとschema.orgの一次情報に沿って正直に整理します。
FAQ構造化データ(FAQPage)とは何か
FAQPageは、schema.org(構造化データの国際的な共通語彙)が定める型のひとつで、「1つ以上のよくある質問(Frequently Asked Questions)」を提示するWebページであることを示します。型の階層は Thing(もの)> CreativeWork(制作物)> WebPage(Webページ)> FAQPage という入れ子で、FAQPageはWebページの一種という位置づけです。
技術的には、ページのHTMLに小さなJSON-LD(波かっこで囲んだ設定の塊)を1つ埋め込むだけです。これによって「ここは質問と回答のセットです」「この文が質問で、この文が回答です」と、機械に対して意味をラベル付けします。人が読む見た目は変わりません。あくまで裏側のラベルです。
混同しやすいのは、次の2つがまったく別物だという点です。
- 可読なQ&A本文:読者の画面に実際に見えている質問と回答。人もAIもこれを読む。
- FAQPageのJSON-LD:その本文に機械可読のラベルを付ける裏方のコード。
価値が生まれるのは前者です。後者は前者を補助するタグにすぎません。まずこの順序を取り違えないことが、以降すべての判断の土台になります。
持ち帰り:自社サイトを開き、質問と回答が「読者に見える形で」載っているかをまず確認する。裏のタグより先に、表の本文があるかどうかが出発点。
「FAQPageを入れればAIに引用される」は言い切れない
結論から言うと、「FAQ構造化データを入れればAIに引用される」という主張は、2026年8月時点の一次情報では裏付けられません。ここは正直に線を引く必要があります。
Googleは公式ドキュメント「AI 機能とサイト」で、「AIによる概要やAIモードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません」「特別な schema.org の構造化データを追加する必要もありません」と明言しています。つまりGoogleのAI機能(AI Overview/AIモード)に出るために、FAQPageを含む構造化データは要件ではありません。
では他のAIはどうか。ChatGPT・Perplexity・Claudeが「引用先を選ぶときにFAQPageスキーマを使っている」と述べた公式資料は、確認できる範囲では存在しません。ないものを根拠に「非Googleには効く」と断定するのも同じ誤りです。ここで言えるのは、あくまで構造の話までです。ページ上に、質問がそのままの言葉で見出しになっていて、回答が結論から短くまとまっていれば、人もAIも同じ塊を抜き出しやすい――それだけです。抜き出しやすいのはJSON-LDのタグではなく、可読なQ&A本文の書き方の効果だ、と理解してください。
福岡でAI検索対策(AEO)を検討している場合も、判断軸は同じです。「タグを入れたから引用される」ではなく「読者にとって役に立つ独自の答えが、抜き出しやすい形で書けているか」。当社が運営するAliveCastのAEO対策でも、この順序を崩さないことを前提に組み立てています。
持ち帰り:制作会社やツールが「FAQPageを入れればAIに必ず引用される」と言ってきたら、その根拠となる公式資料を尋ねる。出てこなければ、それは断定できない主張だと判断してよい。
FAQリッチリザルトは2026年に廃止された(鮮度の要注意点)
FAQPageをめぐる状況は、この数年で二段階に変わりました。ここが最も鮮度に依存する論点です。
- 2023年9月14日以降:GoogleはFAQリッチリザルト(検索結果にQ&Aのアコーディオンを出す表示)の対象を、「著名な政府・医療系サイト」だけに制限しました。一般企業のサイトでは、この時点ですでにアコーディオンは出なくなっていました。
- 2026年5月7日:GoogleはFAQリッチリザルトを検索結果から完全に撤去しました。公式声明では「FAQのリッチリザルトはGoogle検索に表示されなくなりました。2026年6月に、FAQの検索表示・リッチリザルトレポート・リッチリザルトテストでのサポートを終了します」とされています(Search Engine Journalの報道)。同じ内容はGoogleの公式ドキュメント「FAQ (FAQPage) structured data」でも、「FAQリッチリザルトの機能はGoogle検索結果に表示されなくなりました」と明記されています。
ここから導かれる結論は明確です。「検索結果にQ&Aのアコーディオンや星を出す」目的でFAQPageを新規に作る動機は、現在ゼロだということです。もしそれを有料オプションとして提案されたら、廃止された機能を売られていることになります。
一方で、FAQPageスキーマ「そのもの」は今も有効なschema.orgのマークアップです。ページに残していても検索に悪影響はありません。Googleは「使われていない構造化データは検索の問題を起こさない」としており、削除を明示的に推奨してもいません。つまり残すのも消すのもどちらも可という位置づけです。既存サイトから慌てて剥がす必要はありませんが、「リッチリザルトが出るから」という説明で新規に売るのは実態と合いません。
なお、この論点は今後も動く可能性があります。記事や制作会社の説明を読むときは、公開・更新の日付を必ず確認し、最新のGoogle Search Centralを一次情報として当たってください。
持ち帰り:既存サイトにFAQPageが入っていても、慌てて消さない。ただし「リッチリザルト(星・アコーディオン)が出る」という前提で新たに費用を払うのは今は理由がない、と判断する。
FAQPage JSON-LDの構造(実物)
実装するなら、schema.orgが定める形はシンプルです。FAQPageの中に mainEntity(メインの中身)という配列を置き、その中へ「質問(Question)→ 採用回答(acceptedAnswer)→ 回答(Answer)」を入れ子にします。開発者でなくても、次の対応表を制作担当に渡せば意図は正確に伝わります。
| 階層 | 型・プロパティ | 役割(かみくだくと) | 記入例 |
|---|---|---|---|
| 1階層目 | @context | どの語彙を使うか宣言する | https://schema.org(固定) |
| 1階層目 | @type: FAQPage | このページがFAQ集だと示す | (固定) |
| 2階層目 | mainEntity(配列) | Q&Aの集まりを入れる箱 | 質問オブジェクトを並べる |
| 3階層目 | @type: Question | 質問1件 | — |
| 3階層目 | name | 質問文そのもの | ホームページの更新費用はいくらですか? |
| 4階層目 | acceptedAnswer | 採用する回答を指す | — |
| 5階層目 | @type: Answer | 回答1件 | — |
| 5階層目 | text | 回答文そのもの | 更新費用は保守契約の内容で幅が出ます…(結論から短く) |
Googleの仕様で必須とされるのは、Question(質問)・name(質問文)・acceptedAnswer(採用回答)・Answer(回答)・text(回答文)です。加えてコンテンツ要件として、①FAQの本文はページ上に見える形で存在すること、②回答に広告・宣伝を入れないこと、③個々の質問と回答のペア形式であること、が定められています。@context は必ず https://schema.org を指定します。存在しないプロパティを推測で埋めてはいけません。
この形はバリデーション(構文チェック)を通りますが、前章のとおり通ること=検索で目立つこと、ではありません。今のリッチリザルトにはつながらない、という前提で扱ってください。
作る順番も大事です。先に本文(可読なQ&A)を作り、スキーマは任意で後付けする。逆にしてはいけません。
1. 検索されそうな質問を3〜5個、そのままの言葉で見出しにする(例「ホームページの更新費用はいくら?」)。
2. 回答は1文目で結論、続く2〜3文で理由。全体を80〜200字にまとめる。
3. その質問と回答を、ページ上に必ず見える形で置く(開閉式のアコーディオンでも可)。
4. スキーマを入れるなら、上表の対応で、表示している本文と一字一句同じ内容をマークアップする。
持ち帰り:この対応表をそのまま制作担当に渡す。依頼時は「表示している本文と完全一致で、質問3〜5組だけ」と一言添えると、後述のスパム判定を避けられる。
良いQ&Aと悪いQ&A(悪い例→良い例)
FAQで成果に差が出るのは、スキーマの有無より「質問と回答の書き方」です。よくある失敗と直し方を並べます。
| # | 悪い例 | なぜダメか | 直し方(良い例) |
|---|---|---|---|
| 1 | リッチリザルト(星・アコーディオン)を出す目的でFAQPageを作る | 2026年5月に廃止済で成果が出ない | 目的を「読者とAIが抜き出しやすいQ&A本文づくり」に置き換える |
| 2 | 回答に「詳しくはお問い合わせを!無料相談受付中」と宣伝を入れる | Googleのコンテンツ要件(回答に広告を入れない)に違反 | 回答は事実の結論で完結させ、CTAは別ブロックに分ける |
| 3 | ページに載っていないQ&Aをスキーマにだけ書く | 表示とJSON-LDの不一致でスパム扱い | ページに見える同じQ&Aだけをマークアップする |
| 4 | 質問を「当社の強み」のような宣言形にする | 実際に検索される言葉と噛み合わない | 「〜とは?」「〜の費用は?」「〜との違いは?」の疑問形にする |
| 5 | 回答内に自社が自社へ付けた星評価を混ぜる | 自己評価はスパムポリシー違反 | 評価は第三者の声として別に扱い、回答文には入れない |
質問文は、読者が検索窓に打つ言葉のまま置くのがコツです。福岡で「ホームページ 制作 費用 福岡」と調べる人がいるなら、見出しは飾らず「ホームページ制作の費用はいくら?」でよいのです。回答は結論を先に出し、理由を短く添える。長い前置きや売り込みは、人もAIも読み飛ばします。
持ち帰り:既存のFAQを1つ選び、回答の1文目が「結論」になっているかを見る。前置きや宣伝から始まっていたら、結論の文を先頭へ動かすだけで抜き出されやすさが上がる。
表示とJSON-LDを一致させる(公開前の実装チェック)
スキーマを入れる場合、公開前に守るべき技術ルールがあります。難しくはありませんが、外すとスパム扱いや評価低下につながります。
- 複数のスキーマは個別のタグに分ける:1ページにFAQPageと他の構造化データがある場合、配列で1つにまとめず、それぞれ別々の script タグに分けて出力する。
- 同じ型を二重に出さない:AIOSEOやYoast、Rank MathなどのSEOプラグインを使っていると、プラグイン側が自動でスキーマを出していることがあります。そこへ独自でも同じ型を出すと、Googleが「矛盾シグナル」と判定し評価が下がります。ブラウザでページを開き「ページのソースを表示」で、同じ型のJSON-LDが2個以上出ていないかを確認します。
- 表示テキストとJSON-LDを完全一致させる:ページに見えている回答文と、JSON-LDのtextに書いた回答文が一字一句ずれていないこと。水増しや言い換えは不一致=スパム扱いになります。
- 回答に宣伝・CTAを入れない:「お問い合わせはこちら」などは回答文の外、本文の別ブロックに置きます。
公開前チェックの手順はこの3つに集約できます。①ページのソースを表示して同じ型のJSON-LDが重複していないか、②表示の回答文とJSON-LDの回答文が一致しているか、③回答文に宣伝が混ざっていないか。ここを通れば、少なくとも「実装ミスで評価を下げる」事故は避けられます。
持ち帰り:公開前に「ページのソースを表示」で同じ型のスキーマが1個だけか確認する。SEOプラグインを併用しているサイトほど、二重出力が起きやすいので必ず見る。
よくある質問
FAQ構造化データ(FAQPage)とは何ですか?
ページ上の質問と回答を、検索エンジンやAIが読み取りやすい形で記述するschema.orgのマークアップです。ページの見た目は変えず、裏側で「これは質問」「これは回答」と機械にラベル付けします。中身はFAQPage→mainEntity→Question→acceptedAnswer→Answerという入れ子です。
FAQPageを入れるとAIに引用されますか?
断定はできません。GoogleはAI機能に構造化データは不要と公式に明言し、ChatGPTやPerplexityが引用判断にFAQPageを使うと述べた公式資料もありません。効くのはタグより、ページ上に見える結論先出しのQ&A本文です。人もAIも同じ塊を抜き出します。
FAQリッチリザルトはまだ検索結果に出ますか?
出ません。Googleは2023年に対象を政府・医療系サイトへ限定し、2026年5月7日に検索結果から完全撤去、6月にレポートとテストのサポートも終了しました。今から「検索で目立たせるため」にFAQPageを作る理由はなくなっています。
既にあるFAQPageのスキーマは消すべきですか?
慌てて消す必要はありません。FAQPageは今も有効なマークアップで、残しても検索に害はなく、Googleも削除を推奨していません。残すも消すも自由です。ただしリッチリザルト目的の有料オプションとして新規に払う理由は現在ありません。
FAQ実装や保守の費用はいくらですか?
一律には出せません。ページ数・CMSの有無・更新頻度・保守にどこまで含めるかで幅が出ます。業界の目安を知りたい場合も、要件を固める初回打合せで作業範囲を決めてから見積もるのが確実です。相場だけで判断しないことをおすすめします。
FAQ構造化データの導入や、AI検索を意識したサイト改善でお困りの際は、お問い合わせください。福岡を拠点に、実態に合った優先順位でご提案します。
