ChatGPTやGoogleのAI回答が自社を間違えていても、「この事実を直して」と申請できる窓口は2026年8月時点で存在しません。主要4社の公式窓口はいずれも個人データが対象です。直し方は、AIが読んでいるソース側を直すことです。
以下、各社の公式ページを一次確認した結果と、当社が自社サイトで同じ問題を起こしていた実例を公開します。
AIが自社を間違えるとき、原因は3種類ある
まず切り分けます。対処法がまったく違うためです。
| 出どころ | 何が起きているか | 直せるか |
|---|---|---|
| ①モデルの中(学習済み) | 学習した時点の古い情報をそのまま答えている | 事業者に頼んでも基本的に直らない |
| ②検索・引用(リアルタイム取得) | 回答時にWebを検索し、拾ったページの内容を答えている | ソースを直せば直る |
| ③自社サイト自体が間違っている | AIは正しく読んでいる。書いてある内容が誤り | 自分で直せる。最優先 |
見分け方は簡単で、AIに「その情報の出典はどこですか」と続けて聞くことです。URLが返ってくれば②か③、「一般的な知識です」のような答えなら①の可能性が高くなります。
多くの記事が①を前提に「AI事業者に申請しましょう」と書いていますが、実務で圧倒的に多いのは③です。
当社も、自社サイトが誤情報の発生源でした
一般論だけでは説得力がないので、当社の失敗を先に書きます。
2026年8月11日、当社は自社の `llms.txt`(AI向けにサイトの要点を置くファイル)とプロフィールページに、次の誤りを公開したままにしていたことを発見しました。
- 代表者名の読みが「なかむら かさむ」(正しくは「おさむ」)
- 代表の前職の企業名が文字化けした状態で記載されていた(正しくはパナソニック システムネットワークス株式会社)
つまり、AIに「AliveCastの代表は誰か」と質問すれば、この誤りをそのまま引用しうる状態でした。AIが間違えていたのではなく、当社が間違いを供給していたわけです。
同日中に両ファイルを修正し、公開URLを取得して誤記の残存がゼロであることを確認しました。福岡市博多区で15年以上ホームページ制作をしている当社でも、AI向けファイルの整備は後手に回っていたということです。
持ち帰り: AI事業者に申請する前に、まず自社サイトを読み直してください。会社概要・プロフィール・構造化データ・`llms.txt` の4か所が定番の発生源です。
主要4社の公式窓口(2026年8月11日 一次確認)
各社の公式ページを直接確認しました。原文は英語のものは訳出し、要点を引用します。
| 提供元 | 窓口 | 公式が明記していること |
|---|---|---|
| OpenAI(ChatGPT) | Privacy Portal(privacy.openai.com)→ Make a Privacy Request →「Remove personal data from ChatGPT responses」 | 対象はあなた個人の personal data。政府発行のIDによる本人確認が必要。「争いのある事実を当社が独自に調査することはできない」と明記 |
| Google(AI Overview) | 回答下の低評価アイコン →「問題を報告」→ カテゴリ選択 | 「重要: AI の回答には間違いが含まれている場合があります」「必ず複数の情報源で確認してください」 |
| Perplexity | 回答下のフラグアイコン、または support@perplexity.ai | 報告にクエリのURL・誤りの内容・期待される結果を添えるよう指定。対象例に Misinformation / Outdated information を明記 |
| Anthropic(Claude) | privacy@anthropic.com | 「合理的な努力を払って訂正するが、大規模言語モデルの技術的複雑性により、常に訂正できるとは限らない」 |
この表から読み取るべきこと
4社とも、窓口があるのは「個人データ」です。「当社の所在地が違う」「提供していないサービスが載っている」といった法人の事実を訂正する専用窓口は、どこにも存在しません。
さらに、OpenAIの窓口は正確には「訂正」ではなく「表示させないようにする」削除・異議申立ての窓口です。同社は申請が常に承認されるわけではないこと、またChatGPTから消しても検索エンジンや元のWebサイトからは消えないことも明記しています。
唯一、Perplexityだけが「誤情報」「古い情報」を報告対象として明示していますが、訂正を保証する記述はありません。
つまり、窓口に出すこと自体は無料で数分ですが、それを主たる対策と考えるべきではない、というのが公式情報から導ける結論です。
実務の手順
上記を踏まえた、現実的な直し方です。
Step 1. 出どころを特定する
AIに同じ質問を投げ、続けて「その情報の出典URLを教えてください」と聞きます。未ログイン状態で行ってください。ログイン中だと過去の会話に引きずられ、他の人が見ている回答と変わります。
Step 2. 自社サイトを直す(最優先)
会社概要、代表プロフィール、`llms.txt`、構造化データ(JSON-LD)の4か所を突き合わせます。表記ゆれも誤情報になります。旧社名・旧住所・旧電話番号がページのどこかに残っていないかを検索してください。
Step 3. 外部のソースを直す
AIが引用しやすいのは、自社サイト以外では次のような情報源です。
- Googleビジネスプロフィール(所在地・営業時間・電話番号)
- 各業界のディレクトリ・比較サイトの掲載情報
- 過去のプレスリリース(配信サイトに残り続けます)
- 求人サイトなど、自社が過去に情報を出した先
古い情報が残っている媒体に、個別に修正を依頼します。地味ですが、ここが一番効きます。
Step 4. 各社の窓口へ報告する
上の表の窓口へ、クエリのURL・誤りの内容・正しい情報・その根拠となるURLを添えて出します。期待値は低く持ってください。
Step 5. 再クロールを待ち、再測定する
ソースを直しても、AIの回答は即座には変わりません。②の検索由来であれば再クロール後に変わりうるものの、①のモデル内の情報は次の学習まで残ります。未ログインで、月に1回、同じ質問を投げて記録する運用にしてください。
正直に書いておくこと
- 各社ともどのくらいで直るかを公表していません。「数日で直る」と書いている記事がありますが、公式にその記述はありません。当社も断言できません。
- ①モデル内の誤りについて、AI事業者が個別の法人の事実を書き換える仕組みは、2026年8月時点で確認できませんでした。
- 当社自身、自社サイトの修正を終えたのが2026年8月11日です。修正後にAIの回答がどう変わるかは現在測定中で、結果が出ていません。出た時点で本記事を更新します。
よくある質問
AIが自社について嘘の情報を答えます。AI事業者に訂正させられますか?
法人の事実を訂正させる窓口は、主要4社のいずれにも存在しません。OpenAI・Anthropicの窓口は個人データが対象で、本人確認を求められます。Anthropicは「技術的複雑性により常に訂正できるとは限らない」と明記しています。実務ではAIが参照しているソースを直すのが基本です。
誤情報の出どころを調べる方法はありますか?
AIに続けて「その情報の出典URLを教えてください」と聞いてください。URLが返れば検索由来なので、そのページを直せば改善が見込めます。必ず未ログイン状態で確認してください。ログイン中は過去の会話が回答に影響します。
報告すればどのくらいで直りますか?
各社とも所要期間を公表していません。検索由来の誤りは再クロール後に変わる可能性がありますが、モデルが学習済みの情報は次の学習まで残ります。期間を保証している記事は、根拠を確認したほうがよいです。
ChatGPTから消せば、Google検索からも消えますか?
消えません。OpenAIは公式に、ChatGPTの回答から個人データを削除しても外部サイトや検索エンジンからは削除されないと明記しています。それぞれ別に対応が必要です。
まず何から手を付けるべきですか?
自社サイトです。会社概要・代表プロフィール・`llms.txt`・構造化データの4か所に古い情報や誤記が残っていないかを点検してください。当社もこの4か所のうち2か所に誤りを抱えていました。AIは書いてあるとおりに読みます。
